酸素濃度計
【はやわかり】ジルコニア式酸素濃度計とは?-機能、役割、原理など-
半導体・電子部品製造や食品包装など多彩な用途で活躍する酸素濃度計。なかでも近年、多彩な製造分野で採用され、重要な役割を果たしているのがジルコニア式酸素濃度計です。いったいどのような仕組みや原理で対象を測定するのか、これから初めて利用される方にもわかりやすく解説します。
こんな方におすすめ
- 酸素濃度計について理解したい方
- 半導体・電子部品製造や食品包装の製造に携わる方
ジルコニア式酸素濃度計の機能、役割、原理
ジルコニア式酸素濃度計は、電極加工したジルコニアセラミック上で生じるイオン伝導を利用し、酸素濃度を算出する機器です。
両面に電極加工したジルコニアセラミックは、高温下において、一方の電極部で酸素分子をイオン化し、他方の電極部では酸素イオンを酸素分子に戻す性質を持っています。このとき、二つの電極間では電子の受け渡しが行われることになります(イオン伝導)。イオン伝導の度合いはジルコニアセラミックの両側の酸素濃度の差に比例するため、二つの電極の起電力(電極の間を電子が移動しようとする働き)の差を測ることで、酸素濃度の差を算出できます。
また、この起電力の算出では、ネルンストの理論式に従った安定的な数値を得られます(下図)。このためジルコニア式酸素濃度計は、高信頼の酸素濃度値を安定的に示すことができます。
ジルコニア式酸素濃度計にはこのほかにも、反応が速い、計測可能な範囲が広い、高精度、長寿命などの長所があります。現在は、半導体・電子部品やディスプレイ、二次電池製造など、熱処理プロセスを持つ業界・装置で主に用いられています。
図1 ジルコニア式酸素濃度計の測定原理
東レエンジニアリングDソリューションズの酸素濃度計の特徴
当社のジルコニア式酸素濃度計には3つの特徴があります。
- 充実した前処理フィルタ:
複数のフィルタを用いて測定誤差やセンサ劣化の原因となる成分の侵入を防ぎ、正確性を維持。製品の品質保証につなげています。 - 当社独自のセンサの劣化対策:
特許技術を用いた特殊コーティングによりセンサの劣化を防止。修理・校正の頻度を下げ、ランニングコストを削減しています。 - 豊富な製品ラインナップ・導入実績:
豊富なラインナップから目的に合った製品を選択でき、各業界で導入実績があります。発注ボリュームに応じてカスタマイズも可能です。
ジルコニア式酸素濃度計のひろがる用途
ジルコニア式酸素濃度計は、半導体、電子部品、二次電池、食品などさまざまな分野の製造工程で用いられています。いずれの分野でも、酸素濃度の管理は、製品品質や歩留まりに大きく影響する重要な管理指標です。
特に半導体製造プロセスにおいては、近年、酸素濃度の管理方法がN2ガス雰囲気から真空へと移行しています。このため、真空で精度よく測定できる酸素濃度計の需要がさらに高まっています。
このように、ジルコニア式酸素濃度計は多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。初めて利用される方にもわかりやすく、その機能や特徴を理解していただけるように解説しました。ご不明点があれば、ぜひお問い合わせください。