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水質分析計

【はやわかり】水質計とは?-機能、役割、原理など-

水の中に含まれる成分を分析により明らかにする水質計。どのような仕組みや原理で分析を行っているのでしょうか。これから初めて水質計を利用される方にもわかりやすく解説します。

水質計の機能、役割、原理

水質計は、名前の通り水質を測定・分析するために使用される装置です。測定できるパラメータ(指標)はさまざまで、液体のpHをはじめ、DO(Dissolved Oxygen:溶存酸素)、電気伝導率、塩分、全溶存固形物量、海水比重、淡水EC(Electric Conductivity:導電率)、クロロフィル、光量子など多岐にわたります。
また、測定する対象に応じて、「pH計」「濁度計」のように呼称されることもあります。

当社の分析計で測定できる水質パラメータは以下5種類です。

  • TOC(Total Organic Carbon:全有機炭素)
  • TOD(Total Oxygen Demand:全酸素要求量)
  • TP(Total phosphorous:全りん)
  • TN(Total nitrogen:全窒素)

当社の水質計は、主に異常排水の漏洩を防ぐ見張番としての役割を担っています。工場や事業所から排出される排水の水質パラメータを分析することで、水質汚濁防止法や水質総量規制による排水基準にかなう水質となっているかどうかをチェックできます。処理工程でのトラブルなどにより水質に異常が現れた場合は、迅速に察知して対処することが可能です。

通常は工場敷地内の複数箇所に水質計を設置し、排水の水質を監視します。また、河川への放流直前にも計測を行い、地域の海、河川に住む水棲生物を守っています。

TOCの測定原理(焼却酸化方式)

試料の無機体炭素を除去したうえで、二酸化炭素を含まないキャリアガスが連続的に流れている燃焼管に注入。高温状態で試料中の有機物を酸化させます。この時、生成される二酸化炭素の濃度を非分散形赤外線ガス分析計で検出します。これにより試料中の有機体炭素濃度を求めることができます(図1)。

図1 TOC測定原理

東レエンジニアリングDソリューションズの水質計の特徴

当社の水質計の最大の特徴は、TOC測定を「650℃密封燃焼方式」で行うことです。これは業界でも一番の低温となります。

上記「TOCの測定原理」のとおり、焼却酸化方式でTOCを測定するときは、試料中の有機物を燃焼させて二酸化炭素に変換します。水質計の燃焼部は、白金系、アルミナ系、コバルト系などの触媒を内蔵した燃焼管と、燃焼管を一定の高温度(650℃~1200℃)に保持する加熱炉からなります。このとき、高温のほうが迅速・完全に試料中の有機物を酸化させられますが、温度が高すぎると燃焼管や燃焼管内の触媒が劣化しやすくなります。

そこで当社では、低温でありながらも測定精度がほとんど変わらない650℃密封燃焼方式を開発しました。これにより触媒部の劣化を防ぎ、メンテナンス頻度を低減しています。

定期点検の必要性

工場排水を監視している水質計は、その性質上、排水発生時は常に動作しています。使用するにつれ、センサや部品の劣化による測定結果の誤差を生じることもあります。

計測器を良好な状態で使用し、正しい指示値を維持するためには、日常の適切な保守点検が不可欠です。点検事項、周期、実施方法などは試料の性状や設置場所、配管などにより異なりますが、点検を行うことで機器の異常や故障を早期に発見し、適切なメンテナンスを行うことができます。

当社の保守サービスにおいても、定期点検として、消耗品・定期交換部品の交換、各部清掃、基準液による測定値の校正を行っています。これにより機器の寿命を延ばし、長期的なコスト削減につなげています。

水質計のひろがる用途

水質計の用途は多岐にわたっており、当社の水質計にも、排水管理用の大きな機種から環境調査用のラボ用機まで幅広い機種が存在します。主に各分野の工場で排水の上流監視に用いられ、異常排水の早期発見や排水処理施設の負荷軽減に役立っています。

近年は世界的に環境保護への意識が高まっており、各国政府や国際機関も、水質管理に関する規制を強化しています。こうした規制強化に対応すべく、工場や自治体も、水質監視を従来以上に厳密化しています。こと排水処理や飲料水の品質管理において、水質計のニーズが高まっています。

こうしたなかで当社は、水質計のさらなる高性能化を進めています。また、DX化への対応や、保守点検の負担軽減など、お客様のご要望に応える機能の実現に積極的に取り組んでいます。